こんにちは!ブリコラブログ!です。
今回はビジネススキル編より、『ハラスメント』について。
中でも職場で発生確率が極めて高いとされる『パワーハラスメント』を
解説して参ります。
私は人事部門を含む間接部門で8年管理職を経験していて、
年間約50件・累計約200件のハラスメント・不正関係の相談を受けて
対応~解決した経験があります。
この記事を読んでいただいているあなたは、
「何かしらの被害に遭ったりイヤな思いをした・・・」という方なのかな?
と思います。
この記事をお読みいただくと、以下をご理解いただけます。
確認ポイント
- 「パワハラを受けた!会社の窓口に相談しよう。」・・・の前に、ハラスメントの成立基準や定義を確認する!
- 会社の相談窓口に連絡する前に、事前に押さえておくべき必要項目があることを理解する!
それでは、どうぞ最後までご覧ください!
ハラスメントに関する法律:パワハラ対策が事業主の義務に!?
令和元年6月5日に『女性の職業生活における活躍の推進等に関する
法律等の一部を改正する法律』が公布。労働施策総合推進法、
男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法が改正されました。
この改正により事業主(企業)は、
職場におけるパワーハラスメント防止のために必要な措置を
講じることが義務となりました!
あなたの勤務先にもハラスメントの窓口が新たに設置されたり
イントラネットへ“相談はこちら”的な掲載が社内通知されていると思いますが、
この法律の一環・影響と言えます!
パワーハラスメントの基準や定義とは!?
- 上司から厳しく叱られた!!
- 職場で無視された、コミュニティからはずされた。。。
いろんなケースを見聞きしたり経験されたことがあるかと思います。
「自分がされて、ひどく落ち込んだ。ショックだった」
→「だから、パワハラに認定されるはず。」 ・・・とはならないのです!
この点、実は誤解されやすいポイント。
セクハラは自分が感じたら成立しますが、パワハラはそうでは無いのです!
以下3つの要素を、同時にすべて満たすこと!
職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる
- 優越的な関係を背景とした言動であり、
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
- 労働者の就業環境が害される
という要素があることをいいます!
以下詳しく解説していきますね。
要素その❶:「優越的な関係を背景とした」言動とは?
職場で仕事をするにあたり、言動(「ことば」や「行動」)を受ける
労働者・社員がハラスメントの行為者とされる労働者・社員(以下「行為者」)
に対して抵抗や拒絶したりできない関係性をバックボーンとして
行われるものをいいます!
厚生労働省が定める定義に照らしますと・・・
メモ
1)職務上の地位が上位の者による言動
2)同僚又は部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの
3)同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの
となっています。
1)はイメージつきやすいですね、いわゆる「上司」から「部下」への言動です。
労働契約には“諾否の自由”(=仕事の指示は断れない前提が法的に存在)がありません。
この前提を踏まえて、逃げられない部下に対して常軌を逸した言動がなされると
定義に当てはまる ということです。
部下から上司へのパワハラも成立する!
これは意外に思うかもしれません!メモ2)の部分ですね。
「当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、
当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの」
とはどんなケースなのか??
例えば、部署で解析~集計しなければならないデータがあったとします。
上司はITリテラシーの高い部下に業務を指示。部署内ではその部下しか
データの解析~集計ができないというような場合。
その部下が上司に向かって
「ITリテラシーや知識が低い古い人間だからダメなんすよ!」
みたいな発言を繰り返したり業務指示自体を拒否する場合が該当します!
この上司はITリテラシーの高い部下という“当該者”の“協力を得なければ
業務の円滑な遂行を行うことが困難”な状況。
よって、たとえ部下からの言動であっても、
定義のひとつ目である「優越的な関係を背景とした」が成立するのです!
要素その❷:「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動とは?
社会一般的な概念に照らしてみて、行為者からの言動が明らかに職場において
業務上必要性がない、又はその態様が相当でないものを指します。
厚生労働省が定める定義に照らしますと・・・
メモ
- 業務上明らかに必要性のない言動
- 業務の目的を大きく逸脱した言動
- 業務を遂行するための手段として不適当な言動
- 当該行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える言動
となっています。
例えば、、部下に対して期限/納期を定めて上司が仕事を指示した。
その納期に、部下が間に合わすことができなかった・・というような場合。
職場には、大なり小なりこのようなことは起こり得ると思います。
上司は部下へ指導するケースだと思いますが、その指導の内容が・・・
OKなケース
- 納期が遅れたことに対する原因の追及。
- 部下の業務プロセスに対しての指導。
- 部下がつまづいたポイントを一緒に考え、満たない点を指導。
NGなケース
- 他の社員がいる前でミスを非難。大声で。
- 「お前はデブだから遅いんだ!」←仕事の段取りに無関係な発言
というところがポイントになってまいります。
OKのケースは、あくまでも業務上の指導。
指導を受けた部下が「上司の言い方が気に入らない!ハラスメントだ!」
と訴えたとしても、パワハラは成立しません!
業務上必要な原因追及だったりプロセスチェックだからです。
NGケース、「デブだから遅い!」というのは業務上無関係ですし、
上司の主観・悪口の範囲。業務の目的に合致しているかという視点で見ても
大きく外れていますね。
このような場合は、パワハラとして認められる可能性が極めて高いと言えます!
要素その❸:労働者の「就業環境が害される」とは?
行為者の言動(=「ことば」や「行動」)で、労働者・社員が「身体的」
または、「精神的」に苦痛を与えられる状態。
就業環境が不快になって、労働者・社員の能力発揮に重大な悪影響が生じるなど、
就業する上で見過ごすことができないくらいの支障が生じることをいいます!
この判断に当たっては、「平均的な労働者の感じ方」つまり、
「同様の状況で行為者からの言動を受けたときに、社会一般の労働者
(=その職場にいる他の社員と同義でOK)が、就業する上で見過ごせないくらいの
支障が生じたと感じるような言動であるかどうか」が基準です。
わたくし、冒頭のパワハラの定義の箇所で、
- 「セクハラは自分が感じたら成立するが、パワハラはそうではない」
とお伝えしましたが、それが正にこの部分です!
同じ職場にいる他の社員も、同じように「自分がされたらイヤだ!」
「同じ職場で働く上であの上司の発言は不快に感じる(業務上の指導は除く)」
となってはじめて要素❸が適用されるのです!
会社の相談窓口へ連絡!その前に準備することとは!?
パワーハラスメントに該当する3つの要素が同時に満たされている!となれば、
いよいよ会社への相談・訴えです。
会社はあなたの相談・訴えを受領すると、以下の動きをとります。
メモ
- あなたの訴え内容の詳細確認:「いつ」「どこで」「だれが」「どんなシチュエーションで」「何が起こったか」?
- 客観的事実の確認:1)が起きた時に、周囲で他の社員などだれが見聞きしていたか?他に同じ被害に遭っている社員の有無。
- あなたの主張確認:上記パワハラの3要素を踏まえ、「行為者のどの言動がパワハラと思えたのか?」
- 着地点・解決のイメージ確認:1)や3)を踏まえ、会社にどう対処してもらいたいか?懲戒等の処分を望むのか?
- 行為者へ事実確認:相談者の主張と2)の調査結果を踏まえ、行為者本人へ事実確認をする。また、弁明機会も与える。
もしかしたら、4)は意外に思えるかもしれません。
が、会社(相談窓口部署)は“相談者の意向”を尊重します。
「ハラスメントに該当するかどうか、調査して適切な処分をしてください。」
という依頼でも問題は無いのですが、相談・訴えを上げるにも「責任」が伴います。
よって、自分事としてどうして欲しいかを明確な意見を言った方が絶対に良いです。
わたしは相談を受けて調査をする側のポジションの意見として、
「どうして欲しい」「こう思っている」が無い場合は正直動きづらいもの。。。
(調査やジャッジの手を緩めることは無いですが、対応する側も“ヒト”です・・・)
AIや機械が判定する訳ではないことを、重々理解してください!
「準備するべきこと」「控えた方がよいこと」
会社の相談窓口や担当部署は、上記の1)~4)を確認してきます。
パワーハラスメントかどうかを認定するには、
あなたが提供する具体的な情報がカギを握ることになります。
つまりは、行為者による言動の細かな詳細が伝えれる状態になっていること!
メモ
- 何月何日、何時ころ。●●オフィス■階のスペースで、AさんとBさんと上司がミーティングしている際に発生。
- 言動の詳細。また、その言動は過去にもあったかどうか?頻度は?など←担当部署は、行為者の継続性も知りたい。
- メール等で行われた場合、そのメールをエビデンスとして提出できるようにする。
など。
注意
・会話の内容を録音したデータを提出する。
会話の録音データは動かぬ証拠として決定的・・・と思われますが、
相手方(この場合は行為者)に許可なく勝手に録音したものは、
逆に「プライバシーの侵害」とされることがあります。
よって、私が会社でこのような職場問題に関する相談を受ける場合、
相談者から録音データを渡されても“参考”にはしますが、
“処分判断”には使いません。
相談窓口はあくまでも「中立な立場」で動き、処分に対しても「軽すぎず・重すぎず」
の判断をするのだということを是非覚えておいてください。
なぜなら重すぎる処分や法を逸脱した決定をすると、
逆に行為者から「過剰処分」として会社が訴えられることもあり得るからです。
パワハラの成立基準・3つの定義:まとめ
- パワーハラスメントは、3つの要素が同時に満たされた場合に成立する!
- 自分だけでなく、周囲の社員も「見過ごせない事態だ!」という認識が必要(セクハラは、自分が感じたら成立)
- 会社の相談窓口へ行く前に、客観的事実情報を収集し話せるようにしておく。
いかがでしたでしょうか?
数多くの相談を対応している立場・役割からの意見としてお話しました。
会社側の役割や動き方をご理解いただいた上での相談の方が効果はありますし、
そうすることであなたの悩みが早く・効果的な解決につながることを
切に願っております!
次回はパワーハラスメントの類型について解説したいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました!
それでは次回のブリコラブログ!でお会いしましょう!